2009年1月22日木曜日

価値


近所にフレンチレストランができたとする。シェフは本場の有名店で数年修行してきたらしい。その味を引き継いだ本格的な料理を出すようだ。さすがに凝った店構えだ。お値段もそれなりにお高い。実際に行ってみる。一口食べてみた。「おや?」と思う。自分の好みではない。それほど美味しいだろうか?これが美味しいって事なのだろうか?なんとなくもやもやしたまま店を出る。
近所にもう1件、フレンチの店がある。オーナーシェフの履歴は定かではない。店構えも大した事はない。しかし実際食べにいってみたらわりと好みの味だった。この間の高い店よりも、自分にしてみたらこっちが好きだ。後日、人に聞かれる。はっきり答えられるだろうか。安い店のほうが美味しかったと。

自分の舌がおかしいのかもしれない。ちゃんとしたフレンチなんてそんなに食べた事ないし。本場で修行した人が作るものが不味いわけがないし。世間の評判も良いみたいだし。
美味しいと感じられなかった自分の舌を疑う。高いほうの店の味が正しいはずだ。そちらの味に、自分の舌を矯正しなくてはいけない。でなければ、味のわからない人と思われる。


どちらの店の味も、好きな人もいれば嫌いな人もいるだろう。
味だけでなく、雰囲気や、ある程度のお金を払って食べる事で満足感を得る人もいる。
後日、あの評判の店に行ってきたと、人に自慢する権利もある。

何に価値を見いだすかは人それぞれだ。
楽器も同じである。

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