2008年12月24日水曜日

再会

ヴァイオリニスト、永井由里さんのコンサートに行ってきた。
工房を始めてすぐの頃、知り合いの方に紹介されて楽器を弾いていただいた事があり、その音楽性に強く衝撃を受けた事を覚えている。なかなかコンサートにも伺えず、お会いする機会もなかったのだが、今回のコンサートの終了後、弾いていただく機会を得た。
もう5年以上経っていたにも関わらず、「前の楽器の音、覚えてますよ」とおっしゃってくださり、「凄いですね。段違いに変わりましたね!」と感想を言っていただいた。良かった!と思って喜んでいると「自分でもそう感じるでしょう?」と聞かれ、思わず「はい」と答えていた。

コンサートが終わってからの数時間、弾いてはしゃべり、休憩し、また弾いてと、よく考えれば大変に贅沢な時間を過ごさせていただいた。永井さんの演奏は、直球で心に響いてくる。こういう演奏をする人はなかなかいない。貴重な経験をさせていただいた。

別れ際、「また色々試して、勉強しましょう」と言ってくださった。
次にお会いする時には、もっともっと良い楽器を弾いていただけるように精進しなくては。

2008年12月20日土曜日

the CURE


ロバート・スミス率いる(とはいえ、ほぼ彼のワンマンバンドだが)イギリスのバンド、ザ・キュアーの新譜を買った。クラシック以外のCDを買うのは相当久しぶりな気がする。
そもそもこのバンドとの出会いは浪人生の頃だったのだが、もう50近くになるおっさんが、聞いてるこっちが周りに謝りたくなるような破廉恥な歌詞の歌を歌い続けている事は、本当に尊敬に値する。一度聞いたら忘れる事のできないくらい個性的で強烈なサウンドは、本当の意味で比類ない。今風に言うならハンパない。
ついでに、昔買ったアルバムも棚から引っ張り出してきて、端から聞き直す事にしてみた。やっぱりサイコーだった。
年がら年中「もうやめる」と嘯くロバート・スミスだが、どうぞそんな事を言わずにあと20年は続けて欲しい。

シエスタ


晴れの日は、南の窓から工房に差し込む太陽の光で、ストーブがいらないくらい暖かい(サーキュレーターさまさま)。居間で休憩するよりも、工房のほうがぽかぽかしているので、こちらでお茶したりする。
昨日amazonから届いた横山進一さんの本「ストラディヴァリウス」を読みつつ、スコーンをいただく。

2008年12月11日木曜日

もどかしさ


年間通して数回しか更新しないホームページだが、楽器の写真もかなり前に作ったもので、とうの昔に人手に渡っていたりしていて、さすがに今年中にどうにかちゃんとして、新年を迎えたいと考えて・・・はいる。

いつも思うのは、写真も文章も、大変に難しいという事だ。
工房便りの文章など、5回も書き直して、結局は大した事を書いてない方を採用してしまう。
音に関しても、作りに関しても、仕事の仕方に関しても、それなりの考え方はある。当然、ゆずれない部分も多く、しかし同時に、良いと思える方向に敏感に反応して、無意味な執着を捨て、求める方向へ真っ直ぐ進める柔軟さも無くしたくないと感じている。

スタンスは変わらない。けれど、その技術やノウハウは常に変化し続けているし、そうでなければ、より理想とする音へ向かう事はできない。ストラディヴァリほどの音が出せているのなら全ての技術に対して断定的に書くこともできようが、ごく基本的な技術でさえも、製作者が100人いれば100通りの方法があり、それぞれに正しさがある。演奏家100人の出す音が、多かれ少なかれ全て違うように。

製作している中で思う、ぼんやりとしたいくつかの経験的な感覚を、実際の楽器を作る時には反映できても、それを文章にしてみると、自分の感じている事とは若干の食い違いがあったりして、うまく伝えられないもどかしさを感じる。結局は、実際に楽器と対面してもらうしか、言いたい事は伝わらない。当たり前の事に帰結する。縁あって弾いてもらえた人には、その楽器から、自分が何を考え、どんな音を目指して製作をしているのか、少しでも伝わってくれると嬉しいし、そう感じてもらえる楽器を作っていきたいと思う。


・・・ってこういうのを工房便りの文章にしたらいいんじゃぁ・・・。