2008年12月11日木曜日

もどかしさ


年間通して数回しか更新しないホームページだが、楽器の写真もかなり前に作ったもので、とうの昔に人手に渡っていたりしていて、さすがに今年中にどうにかちゃんとして、新年を迎えたいと考えて・・・はいる。

いつも思うのは、写真も文章も、大変に難しいという事だ。
工房便りの文章など、5回も書き直して、結局は大した事を書いてない方を採用してしまう。
音に関しても、作りに関しても、仕事の仕方に関しても、それなりの考え方はある。当然、ゆずれない部分も多く、しかし同時に、良いと思える方向に敏感に反応して、無意味な執着を捨て、求める方向へ真っ直ぐ進める柔軟さも無くしたくないと感じている。

スタンスは変わらない。けれど、その技術やノウハウは常に変化し続けているし、そうでなければ、より理想とする音へ向かう事はできない。ストラディヴァリほどの音が出せているのなら全ての技術に対して断定的に書くこともできようが、ごく基本的な技術でさえも、製作者が100人いれば100通りの方法があり、それぞれに正しさがある。演奏家100人の出す音が、多かれ少なかれ全て違うように。

製作している中で思う、ぼんやりとしたいくつかの経験的な感覚を、実際の楽器を作る時には反映できても、それを文章にしてみると、自分の感じている事とは若干の食い違いがあったりして、うまく伝えられないもどかしさを感じる。結局は、実際に楽器と対面してもらうしか、言いたい事は伝わらない。当たり前の事に帰結する。縁あって弾いてもらえた人には、その楽器から、自分が何を考え、どんな音を目指して製作をしているのか、少しでも伝わってくれると嬉しいし、そう感じてもらえる楽器を作っていきたいと思う。


・・・ってこういうのを工房便りの文章にしたらいいんじゃぁ・・・。

2 件のコメント:

kumiko さんのコメント...

ウーン、わかるような気がします。私の仕事は、日本語に関することなんだけど、毎日使っている言葉なのに分からないことだらけ。ウン十年も生きてきて母国語もままならない!!!トホホな毎日なのです。添削に添削(とかやり直しとか)を繰り返しても納得できないのは、どんな仕事でも同じなのかもしれませんね。でもばろりんやさんのブログは楽しみです。表紙も、ザクロの写真とか、保存しておけばよかった……と。来年も楽しみにしてますデスヨ。

violinya さんのコメント...

納得いく仕事の、納得のレベルもいろいろあるんでしょうが、全く悔いの残らないような仕事を、生涯でひとつでも成し遂げられたらいいなあと思いますね。。
来年もよろしくお願いします。