2010年3月10日水曜日

忘れられない1日


那須で行われた、ジャン=ジャック・カントロフのコンサートにいってきた。
ここ最近天気も良く、ずいぶんと暖かくなってきたと感じていたのに、どういうわけか今日に限って、那須に行くという日に限って!の雪。
誰の行いが悪かったのかは追求しない事にするが、とにかくすごい天気だった。
そもそも、北関東の栃木県とはいっても、県南地域に雪が降る事なんて年に2,3回。積もる事など1回あるかないかの頻度なので、当然スタッドレスなどもっているわけもなく、なんとなく大丈夫だろうみたいな気持ちでノーマルタイヤで出かけて大変な目にあった。那須を侮っていた。
会場がかなり山のほうにあったため、途中からはスタッドレスを履いている車に同乗させていただき、どうにかこうにかたどりついた。
お世話になっている方の計らいで、最前列で演奏を聞く事ができた。

ベートーヴェンのソナタ。ピアノの音色もヴァイオリンのそれにとても良く合っていて、なにより息がぴったりすぎるくらいぴったり。
それぞれの掛け合いで、どんどん音楽が生まれていく感覚。音が溢れ出すとはこのことだと感じた。
実は今までベートーヴェンてそんなに好きじゃなかった(失礼な)のだけれど、今日で印象が全く変わってしまった。
カントロフ氏の楽器も物凄く良い音で、奏者の要求に忠実に答えてくれているようだった。名器の底力を思い知る。

演奏が終わったあと、ご好意で楽器を見せていただく事ができた。
1699年のストラディヴァリ。
長い間、様々な名演奏家たちに弾き継がれてきた楽器は、手にすると、とても華奢で、さきほどまでの活躍が嘘のように静かな佇まいだった。楽器に施されたひとつひとつの仕事を見ると、作り手の息遣いが感じられるような気がした。

約300年前、実在した人がこの楽器をつくり、そして今ここにこうして、現役の第一線で働いている。
つくづくヴァイオリンって素晴らしい。
忘れられない1日になった。

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